ももんじ通信

ライフログ的なにか

没頭する女子高生とアニメをめぐる冒険【「映像研には手を出すな!」1・2話をみました】

高校生の頃は、有り余るように時間があったのて「没頭」することが多かった。授業中も上の空で、ボーッと空想に耽ったり内職と称して部活で必要なイラストを描いたり、教科書の下に忍ばせたルーズリーフのラインを自分の考えた設定で事細かに埋めてみたり。授業用のノートも例外ではなく「没頭」の対象で、特に好きだった古典のノートは和歌を題材に取った妄想の十二単なんかが描き散らしてあった。

今でも、まとまった作業を行う時にはある程度「没頭」するが、四六時中何かに没入していた当時の比ではなく、かつての日々を懐かしく思うこともある。

2020年1月期のアニメ「映像研には手を出すな!」はそんな没入の日々を思い出させてくれる秀作である。

 

 

1月期は正月ボケしているうちにあっという間に始まってしまい、アニメやドラマの事前チェックもままならなかったわけだが、知り合いが「面白いよ!」と勧めてくれたので遅ればせながら観たのだった。

冒険アニメに魅せられた設定大好き猪突猛進ガールな浅草みどり、アニメーター志望の破天荒お嬢様水崎ツバメ、超超現実主義なプロデューサー気質の金森さやか。それぞれ我も強く、自意識の塊で、トガリまくった思春期を謳歌している。そんな独立したナイフのような三人が、触れ合う一瞬に共鳴しあって、爆発的な没頭を生み出すのが本作。

高校に入学し、アニメを通じて出会った三人が、「映像研究会」を立ち上げて部室と機材を手に入れるのが2話までのお話。

舞台となるのは色々な文化圏や時代、様式の建物がごった煮にされたような、九龍城砦のような高さのある街。その街中を、三人は自分たちの生み出したマシンで滑空する。現実世界のラインと生み出したメカのラインの描き分け、映像のテクスチャの差が素晴らしくエキサイティングで、画面から目が離せない。

監督は森見登美彦作品『四畳半神話体系』『夜は短し歩けよ乙女』などのアニメ化の際に担当されていた湯浅政明氏。映像的にとても好きな二作品なので、クールと通して映像の完成度もとても楽しみ!!

視聴中にいくつか観たい作品を思い出したので覚書。

まずは『電脳コイル』。

電脳コイル Blu-ray Disc Box

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近未来の子供達と「電脳メガネ」をめぐる近未来SFアクション作品(だとわたしは勝手に思っている)。子供達の動きの躍動感や瑞々しさが、「映像研には手を出すな!」に近いなと感じた次第。

なぜかAmazonビデオでは視聴ができないようで。データはあるけど利用できない状況。dアニメ契約したので見せてくれよ……という気持ち。

もう一本。『けいおん!

けいおん!コンパクト・コレクションBlu-ray

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これは私がかつて女子高生だったから分かるのですが(突然のマウント)『けいおん!』みたいに、女子校の女子高生の関係性を上澄みを掬い取って描けている作品は無いわけです。『映像研!』で描かれているのは、上澄みを全部根こそぎ持って行った後に、アニメ製作という夢をトッピングした状態の女子高生の関係性の沈殿物なので、ある種ふた作品は似通っているし、対極でもある。比べて視聴してみると、かなり面白いのではないかと思いました。