ももんじ通信

ライフログ的なにか

キャストの骨太さにハイパー感謝の映画(映画「屍人荘の殺人」ネタバレ感想)

映画が発表になったタイミングで友人に原作を勧められて読んでいたので、SMTのクーポンもあったし封切り後すぐに観てきました〜

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

 

なかなか本をよむモチベーションが続かず読めていなかった時期に、マッハスピードで入手して読めたのはこの映画が○○○モノだというネタバレを受けていたから。本格ミステリとアレが組み合わさるとどんなことになるの!!?という好奇心には勝てなかった。

デビュー作ということで、文章の粗さやキャラの定まらなさ、動機付けの甘さなどはあるもののアイデアの昇華が素晴らしく、楽しく読むことができました。

 

で、今回映画「屍人荘の殺人」でしたが……。まずはネタバレを除いた感想から。

筋は概ね原作と同じで、原作では3階建てだったペンションが2階建に変更されていたのが大きな変化。本格ミステリーの館モノでありがちな部屋割りは正直映画でつらつら言われてもすぐに覚えられないので、2階建てで誰が1階!2階!!ってはっきりしてくれたのは分かりやすくて良かったかも。館のビジュアルもすごくイメージ通り以上の出来でよかったな……。

原作ではグチグチしていた情緒不安定な主人公・羽村神木隆之介がキャストになったことでさっぱりとコミカルなキャラで愛らしく、比留子さんに見初められる理由がわかるキャラになっていたのも良かった。

原作ではしっかりとはなかった明智さんと羽村の関係性がうかがえる小さな事件の解決(?)も書かれていて、二人の関係性により入ることもできた。コンビとしてバランスも良くてかわいくて良かった。

比留子さんのキャラクターも原作だとハイパー情緒不安定だったのが、変人キャラが立っていて親しみやすかった。更に浜辺美波がキャワイイ〜!!セリフが全部甘噛みしてたのはご愛嬌でしたがそれを差し置いて可愛かった。

特筆すべきはキャスティングのセンスの良さ……若手の方はほとんど初見のひとばかりでしたが、チラッと映るおばちゃんが池谷のぶえに似てない???と思ったら池谷のぶえだったり、ふせえりさん池田さんコンビが年長組としてわちゃわちゃしてるのが程よく楽しかったり……。柄本時生さんもチャラクズ系の役柄が映えていて良かったな。

本格ミステリの映像化はとても難しいと思うし、実際に粗がある部分はあったけどその他の部分でガッチリ固めてあったので、楽しめました。映画として面白いかと言われると微妙かもですが………

 

以下ネタバレ感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屍人荘の殺人はタイトル通り、泊まることになったペンションの近くでゾンビが大量発生し、襲撃された大学のサークルメンバーとOBがペンションに取り残される新感覚本格ミステリなわけですが、きちんとゾンビに絡めたトリックで殺人が起こるため優れた作品だと思っています。

映画化に際してストーリー上の英断としては、合宿を行うサークルがフェス研という音楽フェスを楽しむサークルに変更されていた点。OBにチャラい奴が入ることに整合性が取れたように思いました。それから、ゾンビに襲われてフェスから逃げてきた人たちがメンバーに入るのも年齢が分散されるための工夫でしょうか。ゾンビの大群がペンションに来てしまう理由にも通じてとても良かったと思います。

原作と違って、押し寄せるゾンビに対する対策が甘々だったのがちょこっと違和感。ゾンビがめっちゃ来てるのに序盤全くバリケードも襲撃への対策もしなかったのはなんだったんだあれ……。

映画の流れの中での演出として素晴らしかったのが、ゾンビ化する登場人物のキャスティング。近所の音楽フェスで起こった事件から逃げてきた観客と同じ建物で過ごすという展開は自然でかなりよく、その中でもうほぼ無意味にゾンビ化してビビらせるためだけの要因にドランクドラゴンの塚地さんが選ばれているというのが本当に最高だと思いました。えらい!ついでに言うと、大好きな柄本時生さんがクソ御曹司として好き勝手に振舞いまくった挙句にゾンビになるのも最高だった。柄本時生のゾンビがみられる映画最高!!!!ゾンビの脳を潰す描写はもっとスマートなやり方があったのでは?と思いました。

原作と比べた際に(原作でも感じたことですが)動機付けの部分と、犯人の行動のかなり運任せな部分には多少のモヤモヤが残りました。特に映画版では物語が始まるタイミングで場にいない人物が犯人である点や、原作では解説されていた重いものを動かす原理などの説明は甘くそれはどうなの??と感じた次第。

さらにはラストの演出には正直、呆れを通り越して笑いが出てしまいました。そりゃーポスターや広告であそこまで中村倫也を推してはいるけども……。ああいう締め方はしなくてよかったんじゃないかなと。

まあ、なにはともあれ、メインキャストオタなら見に行って楽しい作品だったな!と思います。ストーリーは原作と映画と一長一短。ちょこっとコメディ仕立てが強くなっていた点や、原作の分かりにくい描写をバッサリ行っていたぶん私は映画のほうが好きです。