ももんじ通信

ライフログ的なにか

べしゃり暮らしと阿佐ヶ谷姉妹

12月20日まで、森田まさのり先生の『べしゃり暮らし』が10巻までヤンジャンのアプリで無料だったので読んでいたのだった。

高校生の時に1巻が近所のブックオフで100円になっていてそれを読んだきりだったけど、今読むとよくそこで耐えたなと思うほどにはちゃめちゃに面白かった。

2015年に既に完結しているのを知らないままに読み始めて、まだ連載も続いていると思っていたので「こんな面白い漫画を途中までしか読めないなんて…!」と素で思っていた。

10巻まで読んだ段階で迷わず続きをkindleで購入して読んだ。

人にウケることが生き甲斐の高校生・圭右が元芸人の転校生・辻元と出会いお笑い芸人の養成所に入り、漫才賞レースでの優勝を目指す……

完全に年末、M-1やらR-1やらのお笑いの賞レースが重なる時期に読むべき作品だった。

推しは完全に「デジタルきんぎょ」というコンビ。

高校の「爆笑王」としてイキる主人公に優しくも厳しく接する先輩芸人コンビのNMC(作中での漫才賞レース)にまつわる顛末はつらすぎて、読んでいたファミレスで泣いてしまった。まさか人前で泣いてしまうとは思わなかった。

 

さて、『べしゃり暮らし』を一気読みした翌朝、阿佐ヶ谷姉妹が賞レース「THE W」で優勝した。

ツイッターの「朝読むべき10ツイート」のモーメントの表紙に阿佐ヶ谷姉妹のおふたりがデデンと載っているのをみてそのことを知ったのだった。

わたしがたまたま見たネットニュースは野暮だったので、ふたりが優勝したネタのシチュエーションが乗っていた。

「おばさんがおばさんを誘拐するネタ」

すかさず録画を引っ張り出して、これ以上情報を得てしまう前に見た。めちゃくちゃ面白かった。

シチュエーションがまず面白すぎるのがずるい。思えば、阿佐ヶ谷姉妹は初めて見た時からおばさん同士のコンビだった。「おばちゃん」でなく「おばさん」というのも芸人さんにはあまりない気がする。

女性芸人のコンビが「女の子」から「おばちゃん」にステップアップするところは見たことがあるが、もはや阿佐ヶ谷姉妹ははじめから「おばさん」同士という稀有さ。オンリーワン。コンビは組んで12年だという。

先日読んだ阿佐ヶ谷姉妹のエッセイは本当に良くて、ふくよかな生活の匂いが気持ちよかった。全人類に読んでほしい。

 

同じ時期にまったく別系統のお笑いコンビ(片方は漫画のキャラだし)に触れて、若い世代の勢いを推す「べしゃり暮らし」、突出したおばさんの「阿佐ヶ谷姉妹」どちらも面白いしどちらもお笑いで良いんだよなあと思った。

最近だと平均寿命も伸びて、第二の人生としてお笑いの道を志す年嵩の世代の方もちらほら見るけれども、その姿勢だけを批判するタイプの人って割と見るけれども、要は面白ければ良いんだよなあと。

「才能なければ真面目に生きてないと生きていけないよ」って若い子たちに言うタイプの人だっているけれども、まあまあ真面目に生きてても搾り取られて生きていけないこともままあるんなら楽しい方がいいよなあと。

そんなことをぼんやりと思うわけです。

 

 

おしぼりをまるめたら

おしぼりをまるめたら