隣人のボルゾイを洗う
隣人が飼っている犬を洗ってほしいというので、自宅に連れて帰ってきた。
隣人が飼っているのは真っ白くて大きな犬で、髪の長い女みたいな犬だ。ボルゾイというらしい。
人様の犬をそんなにおいそれと洗ってしまっても良いのだろうか。なにかトリマーの免許のようなものが必要なのではないかと思ったが、押し切られてしまった。
隣人と一緒にいるときはおとなしくしていたくボルゾイも、家の中に連れて入ると途端に激しく暴れ出した。やはり、なにか資格が必要なのだ。
無理矢理風呂場まで連れて行ってシャワーのお湯をかけると、驚いたボルゾイにシャワーヘッドを持った手を噛まれた。
噛まれても存外には痛くない。人間の女のような見た目なのだ。とても優しく、私の手を噛んだ。
洗い終わったボルゾイを大きなバスタオルで包むと、安心しきったボルゾイは眠るように体を小さく折り曲げた。
私は驚いた。あんなに大きい犬なのに身を縮こませると、手足が綺麗に収納されて、小型犬のようなサイズ感になってしまうのだ。