ももんじ通信

ライフログ的なにか

筆記用具を忘れる

学生と名のつく身分だった頃、筆記用具を持ってくるのを忘れたことがあったように思う。

筆記用具を忘れるともはや、何しに学校に来たか分からないので、周りの友人に頭を下げて一日生きるためだけの最低限の装備(シャーペン、そこそこの芯、消しゴム、赤ペン)を借りたものだった。折によっては、教科書・ノートすら忘れて、ルーズリーフから教科書から人に借りまくっていた記憶もうっすらある。何しに学校に行ってたんだ。

大学に入ってからは、同学年に(うそです。別の学年にももはや)ほとんど友達がいなかったので当然筆記用具を借りる相手もおらず、筆記用具だけは忘れないように気をつけていた。しかし、一度だけ致命的なミスをおかしたことがある。

あれは一年生の時に受けていた「論理学」の期末テスト。テスト以外で評価が一切されないという科目だった。テストの準備をしようと思い、カバンの中を探ると筆箱が無かった。

顔から血の気が一気に引く音がして、一瞬にして指先がつめたくなっていくのがわかった。

幸い、テストまでは時間があったため、財布を持って猛ダッシュして遥か遠くにある購買まで行き、1番安いシャーペンと消しゴムを購入した。席に戻ったのは、テストが始まる3分前だった。

さて、こんな話をつらつら書いているのは他でもない。私は今日、仕事で絶対に必要にもかかわらず、筆記用具を忘れたのだった。

カバンの中をみて筆箱がないのに気がつく。とりあえず、全部荷物を出してみてもやっぱり筆箱がないことが分かっただけだった。

特に感動もなく、他のスタッフに「ボールペン貸してください」というと、私よりも必死になってそのスタッフはボールペンをかき集めてくれる。なかったらなかったで……と思っていた分ちょっと申し訳なくなる。むしろ、そこで働くスタッフ全員がボールペンを常に必要としている境遇にあるので、ある程度用意されていないのが異常だなあとも思う。

テストに筆記用具を忘れた程度でこの世の終わりのように感じていた時のことを思うと、不思議なほど図太くなったなあ。と他人事のように思うのだった。