祖師谷についてのはなし
最近、縁があって祖師ヶ谷大蔵駅によく行くようになった。
小田急線沿線といえば、北沢タウンホールや成城ホールの落語会目当てに使うばかりだったので新鮮な気持ちだ。
祖師ヶ谷大蔵駅前にはかな〜り長い「ウルトラマン商店街」というものがある。祖師谷は円谷プロの本社が砧7丁目にあったほか、祖師谷3丁目には円谷英二先生の自宅があったそうで、その縁で祖師ヶ谷はウルトラマン推しなのだ。
ウルトラマン要素なくない?と思って通っていたが、先週歩いているときにふと街灯に目がとまって驚いた。
ウルトラマンだ!!!!
そう、ウルトラマン商店街の街灯という街灯すべてがウルトラマンを模したものになっているのだ。まったく気付かなかった………
ちなみに目の高さにはカラータイマーを模した覗きがあり、ウルトラマンの作品が紹介されている。
本当にウルトラマン商店街だったのかー!!となにを今更なことを実感したのだった。
しかも種類が結構あって凝っている!!
ほかにも案内板がスペシウム光線になっていたり、オリジナルのお土産があったり………ウルトラマン推しがものすごい。
そもそも祖師谷ってどういう地名なのだろう?というのが今回浮かんだ疑問だ。
わたしが祖師ヶ谷と聞いてすぐに浮かぶのは、落語の「堀之内」に登場する「お祖師さま」である。
このお祖師さまは、タイトル通り堀之内にある「妙法寺」のことで、杉並区にある。
余談ながら、このホームページを見ていたところ、ちょっと駅から遠いためか、交通案内に近くの各駅から歩いた場合の消費カロリーが掲載されているのがツボだった。
やっぱり「南無妙法蓮華経〜」とお題目を唱えながら行くと良いのかしら。
それでは、どうして祖師谷は祖師谷という地名なのだろうか?
調べてみたところやはり、祖師谷も日蓮上人、つまり祖師に関連するいわれがあるらしく祖師谷という地名になったらしい。
ひとつは、村の谷の近くに地福寺という寺があり、その境内に祖師堂があったため祖師谷になったという説。
そもそも祖師堂とは各宗でその祖師をまつった堂のことをいうが、特に禅宗の祖師である達磨大師の像を安置しているものを指すらしい。
地福寺は鎌倉時代に建立された寺のようだが、現在はなく、成城学園哲士寮とつりがね池公園の間にある坂に「地福寺坂」と名前が残されるばかりである。
世田谷の地誌をまとめたサイトによると、地福寺にあった祖師堂は日蓮上人の堂であったようである。
もうひとつの説は鎌倉時代の豪族・粕谷氏が領内に祖師山院就沢寺を建立し日蓮上人の他界後に祖師像を安置したことに由来するという説がある。
この場合の祖師谷の谷は粕谷氏によるものということなのか?そうならば、隣の地域の名前は「粕谷」なので、めちゃくちゃ主張の強い一族である。
院就沢寺ものちに焼失してしまい、現存していないという。
以上のように、祖師谷という地名の由来はいずれも現像しない寺や信仰をベースに鎌倉がルーツとされているようだ。肝心の寺が現存していないのに、鎌倉時代の日蓮宗の勢いが現代までこのような形で残っているのは、面白いなあと思う。公任の「滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ」の歌を彷彿としてしまった。